ダイヤモンドホイールとは?特徴・用途を徹底解説

ダイヤモンドホイールとは、ダイヤモンド粒子を砥粒として使用する研削砥石の一種です。このホイールは、WA、GCなどの普通砥粒を使用した砥石とは異なり、「超砥粒ホイール」とも称されます。ダイヤモンドの硬さを活かして、超硬合金、アルミナやジルコニアなどのセラミックス、シリコンやSiCなどの半導体材料などの加工に使用されることが増えています。

ダイヤモンドホイールの内部構造

ダイヤモンドの特徴

最高硬度

ダイヤモンドは地球上で最も硬い物質として知られています。この硬さを利用して、工具としての役割を果たしています。化学的には炭素から成り立っており、特定の組織構造を持つことでその硬さを維持しています。

  • ダイヤモンドは一番硬く、ついでCBNが硬い
  • アルミナと比較して、ダイヤモンドは3倍以上、CBNは2倍以上の硬さ

ダイヤモンド・CBNはその硬さの特徴から、高能率研削ホイール寿命の向上が可能

熱伝導率

ダイヤモンドは、超砥粒ホイール・普通砥石の砥粒として選定される材料の中でも、比較的熱伝導率が高いのも特徴です。砥粒の熱伝導率が高いと、工作物への熱流入が少なくなり、研削熱による工作物の変質の抑制が可能になります。

  • ダイヤモンドが一番高く、ついでCBNが高い
  • アルミナと比較して、ダイヤモンド・CBNは10倍以上高い

砥粒の熱伝導率が高いと、工作物への熱流入が少なくなり、研削熱による工作物の変質の抑制が可能

非鉄系材料に適応

ダイヤモンドホイールは、最高硬度の特徴から、研削が難しい材料の加工に適しています。しかし、熱に弱く、500℃あたりから劣化し始め、800℃前後でCBNの硬度を下回ります。また、炭素で出来ている為、鉄系材料を研削すると熱により炭素と鉄が化学反応を起こし脆くなる傾向があります。そのため、鉄系の材料の加工には適していません。その代わり、鉄系材料の研削にはCBNホイールが使用されます。

高温化での利用や非鉄材料を研削では、CBNが選定されることが多い

ダイヤモンドホイールの被削材

ダイヤモンドホイールは非鉄系材料を中心に硬度が非常に高い材料の研削に使用されます。具体的には、以下のように超硬合金、アルミナやジルコニアなどのセラミックス、シリコンやSiCなどの半導体材料、ガラス、石英などの硬い材料の研削に適しています。

適用素材と加工物

素材名加工物
超硬合金、他超硬合金各種切削工具、金型、耐摩耗部品
サーメット、その他スローアウェイチップ、その他
セラミックスアルミナ磁気絶縁材料集積回路基板、被膜抵抗器
ニオブ酸リチウム、他電子材料メカニカルフィルタ、圧電素子、バブルメモリ
炭化ケイ素焼結品、窒化ケイ素、窒化チタニウム等バリスタ、アレスタ
セラミックス工具スローアウェイチップ、その他
ガラス光学ガラスレンズ、プリズム、フィルタ
板ガラス自動車窓、バックミラー、時計ガラス、液晶セル
管ガラス電子管、半導体外套
石英ガラス電子管
貫石・半貫石ダイヤモンドダイヤモンド工具、焼結体工具
サファイヤ、ルビー耐摩耗製品、軸受、時計ガラス、シリコンオンサファイヤ
水晶振動子
フェライト永久磁石用モータ、スピーカ用界磁
可聴周波用テープヘッド、トランス用コア
高周波用アンテナ、トランス用コア、テープヘッド、偏向ヨーク
半導体シリコン、ゲルマニウムトランジスタ、ダイオード、集積回路
燐化ガリウム、その他発光ダイオード
プラスチックアクリル樹脂プラスチックレンズ
繊維強化プラスチック機会外装、船体、プリント基板
その他プラスチックブレーキライニング、時計枠、電子部品
ゴム自動車タイヤ
金属ねずみ鋳鉄機械部品、摺動部
超重合金自動巻振子、接点
サマリウムコバルト特殊磁石

結合剤(ボンド)の種類

研削ホイールの性能は、砥粒だけでなくそれを固定する結合剤(ボンド)にも大きく影響されます。結合剤は、主に砥粒を保持する役割があります。結合剤の種類には、ビトリファイド(ガラス質)、レジンボンド(樹脂系)、メタルボンド(金属系)、電着などがあり、加工対象に応じて使い分けられます。以下は、主な結合剤の種類とその特長についての説明です。

ボンド種ビトリファイドボンドレジンボンドメタルボンド電着
結合剤の主材質ガラス質樹脂
(フェノール系、
ポリイミド系)
金属
(銅、錫など)
めっき
特徴・有気孔構造で
切れ味が良い
・砥粒保持力が高い
・弾性的に作用
・結合剤の後退性が良い
・砥粒保持力が高い
・耐摩耗性
・砥粒突き出し量が
大きく、切れ味が良い
・総型加工が可能
内部構造
ブリッジ構造
(気孔あり)

マトリックス構造
(気孔なし)

マトリックス構造
(気孔なし)

砥粒単層
(一部多層もあり)
ツルーイング
ドレッシング
有無
基本的には
ツルーイングのみ
ドレッシング
ツルーイング
ともに必要
機上では困難の
場合もある
不要
用途・自動車・ベアリング
・減速機
・トランスミッション
・半導体ウェーハ 等
・金型・工具
・機械部品
・セラミックス治具 等
・工具・溝入加工
・難削材・砥石成形 等
・ドレス装置のない設備
・総型形状・ドレッサ 等

ジェイテクトグラインディングツールの主なダイヤモンドホイール

半導体ウェーハ用 ビトリファイドダイヤモンドホイール nanoVi

業界最小粒径0.5μmの超微粒ダイヤを均等にする革新製法の開発により、SiCウェーハ研削において優れた切れ味持続性と低摩耗率を両立し、生産性向上に貢献します。8インチSiCウェーハ研削において、表面粗さSa1.2nmの高品位研削を達成しました。

レジンホイール テラメイト

切れ味に優れたレジンボンドホイール。ボンドのヤング率を高く設定することにより研削時の砥粒の沈み込みが少なく,砥粒突き出し量が確保できるため高能率な研削が可能です。

レジンホイール レボメイト

新開発のレボメイトは結合剤と砥粒を刷新。「研削時に後退しやすく、砥粒突き出しを維持する新開発結合剤」「切れ味の持続性が良い高靭性砥粒」「砥粒の加工負荷を均等にする高分散構造」の特長を持ち、SiC、アルミナ、超硬といった硬脆材研削においてドレスインターバル延長を実現し、生産性向上に貢献します。

技術資料

限定公開資料も無料でご利用いただけます

動画コンテンツやトラブルシューティングを限定公開しています。
フォームをご入力いただきますと、ダウンロード用のURLとパスワードをお送りします。

ジェイテクトグラインディングツールの技術

トヨタグループでの長年のエンジン部品加工の経験を基に、独自のホイール・ドレッサ開発技術を培いました。この技術力を活かして、お客様の具体的なニーズや要望に合わせたホイール・ドレッサの提案を行います。複雑な形状や特殊な材質の加工にも対応できるホイール・ドレッサを開発し、お客様の生産効率や品質の向上をサポートします。

研削に関するどんなお悩みでもご相談ください。研削加工の技術者が回答します。

お客様の被削材を弊社設備でテスト加工し、研削結果をご報告します。

砥石の無料貸出を行っております。御社設備でのテスト加工が可能です。